バイエルン州、バーデン=ヴュルテンベルク州の皆様
オクトーバーフェストも終わり、秋も深まって、寒い日が多くなってきましたが、皆様如何お過ごしでしょうか。今年のオクトーバーフェストはテロを心配してか,日本人の観光客も少なくなったようで、最初と最後が雨にたたられたことがありますが、訪問者数は560万人と例年より1割前後少なかったようです。ただ、おかげで過去二年と比べると少しゆったりとした感じでした。
前回のご挨拶から3ヶ月以上空いてしまいました。少し長くなりますが、8月から10月にかけての主な活動を紹介します。
1.バーデン=ヴュルテンベルク州
私は、9月半ばにアイゼンマン教育大臣を表敬し、青少年の間で日本語の人気が高いので、ギムナジウムにおける日本語教育の拡充のためにもアビトゥアの選択科目にして欲しいとのお願いをしました。大臣からは、テュービンゲン大学の日本語教師養成課程と連動して、その方向で考えたいとの答えを頂いたので、今後の進展に期待したいと思っています。
9月半ばにシュトゥットガルトのAMBという金属加工見本市に行き、また、見本市会場のそばにあるファナック社新研修施設の落成式にも招かれて出席してきました。AMBは2年に一回開かれる専門見本市で、日本の大企業はもとより、欧州への進出を狙って、日本各地から中堅企業も多く出展していました。また、10月28日にはユニクロのシュトゥットガルト店のオープニングに出席しました。これまでドイツではベルリンにしかなかったユニクロの南ドイツでの最初のお店ということもあってか、開店前から約700人の行列ができていました。
姉妹都市関係では9月半ば、BW州のバード・メルゲントハイム市と姉妹都市関係を有する山梨県笛吹市(旧石和と周辺の自治体が合併してできた市)の倉嶋市長、大久保市議会議長と市民の皆様計14名が、バード・メルゲントハイム市を訪問した後、当館に立ち寄って下さいました。BW州では毎年持ち回りで、Heimattag(故郷の日)を祝っており、今年はバード・メルゲントハイムが舞台となったため、そこに招待され、着物等を着てパレートに参加されたそうです。更に、10月半ばには、大分県竹田市と姉妹都市関係にあるバード・クロッツィンゲンというフライブルクの南にある小さな町も訪問してきました。温泉施設の中の、竹田市から寄贈されたという日本家屋を外から見てきました。翌日、フライブルクの日本庭園を訪問したところ、ドイツでは珍しい紅い葉もあって紅葉が綺麗でした。
また、菊祭りで有名なフライブルクの北にあるラール市に招かれて行ってきました。再来年にも正式な姉妹都市関係の構築を目指しているという,茨城県の笠間市から山口市長ご一行も来ておられました。旧市街の至る所にいろいろな形にした菊を飾っており、日本の菊祭りとは少し違った風情でした。そのほか、BW州のチッシュ・ウルム市長を表敬し、ウルム日本人会の活動を紹介すると共に、ドナウ川の対岸のバイエルン州ノイ・ウルム市と、分野によっては一体となって行政を行っているという話を伺ってきました。なお、ウルム市は特定の市と姉妹都市関係を構築しないという方針を堅持しているそうです。
10月14日にはシュトゥットガルトのリンデン美術館で「おいしい:日本の食文化」の展覧会のオープニングに出席してきました。来年4月まで、日本の食事について、米、酒、麺類、魚を中心に、種々の展示を行っています。
大学間協力ということで、東北、京都、大阪とカールスルーエ工科大学、ハイデルベルク大学、ゲッティンゲン大学の六大学で構成するHeKKSaGOnという大学間協力の第5回学長会議が9月末にカールスルーエで開催され、そこに招かれて挨拶をしてきました。日本とドイツの間では京大とハイデルベルク、名工大とエアランゲン大学工学部、バイロイト大学と東北大学の地学研究所での協力など、多くのバイの協力関係がありますが、HeKKSaGOnは六つの大学間協力というユニークなもので、今回も独側約100名、日本側約50名の参加を得て、様々な分野での協力の可能性が議論されました。
2.バイエルン州
バイエルン州からは6年ぶりに州の閣僚の訪日が実現し、10月第二週にメルク欧州・地域担当大臣、第三週にブルナー農業大臣が訪問されました。私はいずれの大臣にも事前にお会いして、日本の状況について説明をしました。メルク大臣は東京での日程が中心でしたが、ブルナー大臣は東京の後、福岡にも飛んで,バイエルンの物産でオクトーバーフェストの宣伝もされました。
9月には、バイエルン州オーバーフランケン県でチェコ国境に近いホーエンベルク・アン・デア・エッガーとゼルプ、そしてオーバープファルツ県でチェコ国境にあるフルト・イム・ヴァルトを訪問しました。ホーエンベルク・アン・デア・エッガーはタオル等で有名なフェイラー社があるところですが、同社にお世話になったからということで、山川和子元モンリーブ社社長が高齢者施設建設のために多額の寄付を行った縁で、町長を訪問し、町長と共にその建設現場を視察しました。再来年の開所を目指しており、山川社長の名前をとって、ヤマカワ高齢者ハウスと名付けられ、地元からは大変感謝されているそうです。ゼルプ市はかつて陶器が縁で、岐阜県瑞浪市と姉妹都市関係にあったということで訪問したものですが、残念ながら、既に交流関係は存続していないことを確認しました。フルト・イム・ヴァルトでは、ミュンヘン在住で、クーデンホフ=カレルギー・光子の本などを書かれた作家の村木・ベトヒャー・真寿美女史に市民名誉メダルが授与されるということで、その授与式に招かれて訪問しました。この町から国境を越えてチェコ側に20kmほど行ったところにクーデンホフ=カレルギー・光子が住んだボベジョヴィツェ城があるそうです。
愛媛県内子町と姉妹都市関係にあるローテンブルクは5月のマイスタートゥルンクの祭りが有名ですが、今回初めて、帝国都市祭りという9月のお祭りに参加しました。松明行列と市庁舎からの素晴らしい花火の打ち上げがハイライトでした。羽田空港ビル(日本空港ビルデング株式会社)の鷹城会長ご一行がお見えになっており、話を伺ったところ、ローテンブルク市とは協力関係を締結しており、既に十年以上、毎年成績優秀な若手社員を連れてお見えになっているそうです。ローテンブルクは日本人とアメリカ人に人気のある町ですが、ハルトル市長は欧州でのテロのために日本人とアメリカ人の客足が減っていることを気にしておられました。
8月末には、邦楽演奏会(尺八、琴、三味線、長唄)がミュンヘンで行われ、盛況を博しました。私は邦楽には殆どなじみはないのですが、初めて間近で見てその迫力に接しました。
10月18日にはミュンヘン旧南墓地のシーボルトの墓前において、独日協会主催のシーボルト没後150年記念式典に参列し、挨拶をしてきました。シーボルトはヴュルツブルク出身で、1866年にミュンヘンで亡くなっているバイエルンの人です。その関連ではウンターフランケン県イプホーフェンのクナウフ美術館で11月6日まで開催されていた、五大陸博物館から貸し出されたシーボルトの集めた根付の特別展を見てきましたが、根付だけでなく、シーボルトの人生の紹介や浮世絵の展示もあり、大変興味深い特別展でした。
10月半ば、ミュンヘン日本人国際学校の文化祭に招かれ、小学校一年生から中学生までの素晴らしいドイツ語劇を見せてもらいました。いろいろなレベルのお子さんがいる中で難しかったと思いますが、全員参加型の日本の学校教育の良さが出ていたと思います。
3.その他
この秋には、二件の外務大臣表彰の授与式を公邸にて行いました。9月にはコーネルト・アウグスブルク・シュヴァーベン独日協会事務局長に対し、「アウグスブルク日本春祭り」を中心にした同協会の活動に対する同事務局長の功績を讃えました。また、10月にはトゥロムスドルフ日独社会科学学会会長(コンスタンツ大学名誉教授)に対し、同学会の日独関係への貢献を高く評価して、89年の同学会創設以来、副会長、会長を務めてきた同教授への表彰を行いました。
以上、この三ヶ月の主な活動をご報告しました。なお、ドイツ全土では依然としてテロが行われる可能性は否定できないというのが治安当局の立場です。不特定多数の人が集まるイベントは、テロ等の標的となることが懸念されますので、今後、年末にかけてクリスマス市などに行かれる際には十分注意されるようお願いいたします。これからますます寒さが厳しくなる季節ですが、お体にお気をつけて、楽しい降臨節をお迎え下さい。
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