2016年3月24日
 
総領事からのご挨拶
 

  年度の終わりを迎え、また、夏時間に切り替わり、4月から平成28年度が始まりますが、バイエルン州、バーデン=ヴュルテンベルク(以下BW)州の両州にお住まいの皆様におかれましては如何お過ごしでしょうか。
 

 当館管轄地域の邦人数について、昨年10月時点の調査で、バイエルン州の在留邦人数は7,800人を越え、BW州の邦人数も5,400人を超えました。また、ミュンヘン、シュトゥットガルトに住む邦人数もそれぞれ4,400人、1,150人を越え、引き続き増加傾向にあります。また、邦人企業数も,バイエルン州で430社、BW州で250社を越えました。好調な南ドイツの経済を反映してのことと思われます。


 さて、今年もミュンヘン日本人国際学校と、ミュンヘン日本語補習授業校の卒業式に出席させて頂きました。どちらの学校も邦人数の増加もあって生徒数が200名に届くレベルに至っています。いずれの学校も荘厳な卒業式でしたが、昨年の5月の挨拶にも書いた通り、日本人学校の卒業式では涙ぐむ生徒が多いのに対し、補習校では明るい卒業式でした。その違いがどこから来るのか、興味深いところです。日本人学校では、卒業生が小学部はabsorbの「桜の雨」、中学部はアクアマリンの「Cosmos」という卒業式の歌を合唱で歌ってくれた他、在校生は小学部がポケモンの「七色アーチ」、中学部がコブクロの「ここにしか咲かない花」を合唱してくれました。補習校では練習時間が限られるにも拘わらず、「旅立ちの日に」を小学校、中学部、高等部の卒業生が素晴らしい合唱で聞かせてくれました。


 この三ヶ月の間での最大の出来事はバーデン=ヴュルテンベルク州を含む三州の州議会選挙で、普段、ドイツの州議会選挙が日本で報じられることなど殆どないのですが、今回は難民問題の影響と、AfDの伸張があってかなり報じられたようです。私も選挙前に何度かシュトゥットガルトに行って話を聞きましたが、政党間の選挙であるにも拘わらず、緑の党のクレッチマン州首相の高い人気が結果に大きく影響したようです。


 この三ヶ月間の私の訪問先としては、メディア関係ではニュルンベルガー・ナッハリヒテンとバイエルン放送のゴットリープTV編集長を、また、大学ではバイロイト大学のライブレ学長、コンスタンツ大学のリューディガー学長を、そして姉妹都市では、石川県かほく市の姉妹都市であるメスキルヒ市のツヴィック市長と群馬県沼田市の姉妹都市であるフュッセン市のイアコブ市長を訪問しました。バイロイトはコシック連邦議会議員を往訪した際に、同議員のアレンジで大学の学長に加えて、同大学内にあるバイエルン地学研究所(BGI)を見学させてもらい、そこで研究されている桂教授からドイツと日本が緊密に協力していることを教えてもらいました。特に、東北大学との間で交流が続いているそうです。


 経済分野では、バイエルンではやはりコシック議員のアレンジで同じ日にオーバーフランケン・バイロイト商工会議所の副会長、事務局長以下会員企業との懇談の機会を得ました。ミュンヘンではIHKミュンヘン/オーバーバイエルンのサッセ会長を表敬訪問しました。BW州ではウルムにクーリッツBW商工会議所会頭を訪問しました。BW州では12の商工会議所から代表を選んでおり、現在はウルム商工会議所のクーリッツ会頭がBW商工会議所会頭を務めています。また、プフォルツハイムのヴィッツェンマン社にコッホBW州産業連盟(LVI)会長とヴォルフ事務局長を訪問しました。


 日本企業との関係では、1月20日にBW州財務・経済省、bw-i、JETROと共催で、シュトゥットガルトで機械分野での双方向の投資セミナーを開催し、約百名の参加を得ました。ミツトヨ・ヨーロッパの子会社のMitutoyo CTL Germany社がBW州オーバーンドルフ=アム=ネッカー市に建設した新社屋の落成式に参加し、新社屋を見学しました。そこの社長室で、執務室で立ってでも仕事が出来るようにと、高さが変わる机を初めて見て驚きました。独においては最近増えているそうですが、日本ではまだ見たことがありません。


 また、観光分野での見本市として有名なシュトゥットガルトのCMT,ミュンヘンのF.RE.Eで、JNTO(日本政府観光局)が出している日本ブースを視察した他、ミュンヘンではスポーツ製品の見本市ISPOを訪問し、日本企業のブースを見学しました。今年は暖冬のため、スキー製品のブースへの客足は今ひとつだったようですが、テロで客足が鈍るといったことはなかったようです。


 更に、シュトゥットガルトにある「ナチスの犯罪糾明のための州司法管理センター」を往訪し、ドイツが未だにナチスの犯罪者を訴追する体制を維持しているとの説明を聞き、実際に、また、いくつかの裁判が2月に開始されたことに驚きました。


 ミュンヘン東部のグラーフィングのギムナジウムにおける日本語授業を参観し、生徒達から日本語を学ぶ動機としては、やはり漫画、アニメ、日本食等の日本文化に惹かれているという説明を伺いました。


 さて、昨年10月のHP上のドイツ語の挨拶の中で、バイエルン・ミュンヘンで活躍されたクラマーさんが昨年9月に亡くなられたことに触れ、クラマーさんには日本が東京五輪に向けてお世話になり、メキシコ五輪の銅メダルにつながったということを紹介しましたが、日経新聞の私の履歴書の2月分を、釜本元日本代表が執筆され、その中で,クラマーさんのコーチぶりが生き生きと描かれていて、60年代に日本代表チームが本当にお世話になったんだということが私にもよく分かりました。


 このように、50年以上前にも日本とドイツの緊密な交流があり、一方で、BGIのように、バイロイトで目立たない形でも共同研究が行われているということを知り、日独関係の広がりと深さを改めて実感しました。


 なお、皆様もご承知のとおり、3月22日朝、ベルギーの首都ブリュッセル近郊のザベンテム空港の出発ターミナル付近で2回の爆発と、同市中心部地下鉄マルベーク駅でも爆発が発生し、合わせて少なくとも34人が死亡、198人が負傷しました。本事件については「ISILベルギー」と称する組織名で犯行声明が発出され、反ISIL連合への参加国に対する更なる攻撃を示唆しており、引き続き警戒が必要な状況となっています。


 つきましては、南ドイツでも不測の事態に巻き込まれないよう最新の関連情報の入手に努め、当面の間、不要な外出は避けたり、やむを得ず不特定多数が集まる場所等テロの標的となりやすい場所を訪れる際には周囲の状況に注意を払い、不審な状況を察知したら、速やかにその場を離れるなど安全確保に十分注意して下さい。また、外務省が発出する海外安全情報及び報道等により、最新の治安情勢等、渡航・滞在先の関連情報を入手するとともに、日頃からの危機管理意識を持つよう努めてください。


 新年度も、皆様のお役に立てるよう、総領事館一同頑張ってまいります。引き続きよろしくお願い申し上げます。

 

 

 

<過去のご挨拶>
2014年 5月      
2014年 7月      
2014年 9月
2014年11月
2015年 1月
2015年 3月
2015年 5月
2015年 7月
2015年 10月
2016年 1月
 

 
 

       バイエルン地学研究所にて

(前列左より)ライブレ・バイロイト大学学長、桂教授、柳総領事、フロスト教授、コシック連邦議会議員

 

(左から)リューディガー・コンスタンツ大学学長、柳総領事