2015年5月15日
 
総領事からのご挨拶
 

  バーデン=ヴュルテンベルク、バイエルンの両州にお住まいの皆様 


 新しい年度となりましたが、如何お過ごしでしょうか。私は昨年4月末に着任したため、ここで迎える初めての年度末、新年度でしたので、今回は私が出席させて頂いた卒業式と入学式についての印象や、メルケル首相の訪日などについてご紹介したいと思います。


 年度末は卒業式の季節ということで、私も3月7日のミュンヘン日本語補習校に始まり、ミュンヘン日本人国際学校、シュトゥットガルト日本語補習校の卒業式に出席させて頂きました。なお、日程の都合もあり、ハイデルベルク、ニュルンベルク両日本語補習校の卒業式には,他の館員が出席させて頂きました。ドイツの学校では日本のような卒業式を行うところはないようですが、日本の卒業式、正式には卒業証書授与式は、やはり素晴らしいものです。日本人国際学校の卒業式は日本の学校で行うものとほとんど同じ荘厳なセレモニーでしたが、ミュンヘンの補習校は,それに近いものだったのに対し、シュトゥットガルト補習校の卒業式は、当日学習発表会に引き続いて行われることもあり、もう少し和気あいあいとしたものでした。いずれも卒業生に対する卒業証書の授与と在校生の送辞、卒業生の答辞という構成ですが、特に、印象深かったのは、ミュンヘンの補習校では中学の卒業生と高等部の卒業生(高校二年)、シュトゥットガルトでは中学の卒業生が、それぞれ8人くらいだったと思いますが、一人一人が述べた答辞でした。その中で、何人もの卒業生が、土曜日にドイツの学校の友達が遊んだりスポーツをする中で,補習校に行くのが辛い時期があったこと、それでも続けて来れたのはそこで日本語でわかり合える友達に会えるからだったこと、また、学年が上がるに従って、仲間が少なくなっていくのが寂しかったこと、一方でミュンヘンでは幼稚部から14年間一緒に過ごした仲間が何人もいて、一生の友人だと述べていたのが,大変印象的でした。同時に、やはり義務教育でない補習校を続けていくことは本当に大変だったのだろうなと思いました。なお、日本人学校の卒業式に比べて、補習校の卒業式では涙が少なかったのも興味深く思いました。


 私はこの20~30年くらいの間に日本の卒業式で一般的となった混声三部(もしくは四部)の合唱は、全員参加型の素晴らしい日本の文化の一つと思っていますが、それぞれの卒業式でも合唱がありました。ミュンヘン補習校では卒業生一同が「旅立ちの日に」を歌い、日本人学校では小学校の在校生が、ゆずの「また会える日まで」を歌い、小学校の卒業生が「旅立ちの日に」を歌いました。日本人学校では,君が代とバイエルン州歌も歌いましたが、バイエルン州歌は「青くて白い空」を謳っているので、「青い空、白い雲」で始まる「また会える日まで」はバイエルンにぴったりでした。また、中学生は、川嶋あいさんの「旅立ちの日に」を歌いましたが、小学生に比べると、当然ながら、さすが中学生というものでした。シュトゥットガルト補習校では先生方と理事の皆さんが嵐の「ふるさと」を歌い、私は初めて嵐にもこんな曲があったのを知りました。最後は皆で「蛍の光」で卒業生を送り出したので、私も何十年ぶりかで、「蛍の光」を二番まで歌いました。なお、ハイデルベルク補習校の卒業式では「ビリーヴ」が歌われたそうです。


 4月にはニュルンベルク補習校の入学式に出席させて頂きました。新入園児と新一年生がそれぞれ十数人、全校で約60名弱の学校ですが、校歌を歌う際に歌詞を手書きした大きな紙を正面に掲げるなど、手作り感の強いアットホームな入学式でした。その中で3人しかいない中学生(2年生と3年生)が合奏を行ってくれました(ヘンデルのシャコンヌを編曲したもの)。


 日独関係では、3月9日から10日にかけてメルケル首相が約7年ぶりに日本を訪問されました。未来館でアシモと交流されたシーンを新聞・TV等でご覧になった方が多いのではないかと思います。安倍総理は根津美術館の訪問から,首脳会談、経済団体との懇談、晩餐会まで、メルケル首相と5時間以上を過ごされたそうで、昨年4月の安倍総理の訪独に続いて、日独首脳間の緊密な交流が継続されました。その場で、日独間で、留学生や若手研究者の交流を今以上に増やしていくことなどが合意されました。メルケル首相は,天皇皇后両陛下に拝謁したほか、朝日新聞社で講演を行い、また、女性指導者との意見交換会、ダイムラー傘下の三菱ふそう社の工場訪問など、密度の濃い日程をこなされ、日独間の幅広い緊密な協力関係を確認されました。


 さて、前回のご挨拶で、私がテロの危険について書いたからというわけではないと思いますが、日本からドイツへの観光客の数について、ザクセン州なので影響が出ているところもあるようです。ドイツはヨーロッパの中でも安全な方ですので、あくまで滞在中の注意をお願いしているものの、ドイツへの渡航には特段の問題はありません。皆様の日本のお知り合いの方には、あまり心配されないで、ドイツに来て欲しいと、是非伝えて頂ければ幸いです。その一方で、どこにおられてもテロに巻き込まれないよう、注意は怠りなく過ごして頂ければと思います。


 それでは新年度も引き続きよろしくお願い申し上げます。

 

 

 

 

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