2016年7月28日
 
総領事からのご挨拶
 

  バイエルン州、バーデン=ヴュルテンベルク州にお住まいの皆様へ
 
 ようやく夏休みの季節になりましたが、皆様如何お過ごしでしょうか。7月1日にバングラデシュのダッカで,「イスラム国」の影響を受けたテロリストに日本人7名が殺されるという痛ましい事件が起きてしまいました。また、7月18日から24日の間に、南ドイツでは連日のようにテロや殺傷事件が発生したため、幸い,邦人の方は巻き込まれてはいませんが、不安になられている方も多いかと思います。前回の挨拶で私は南ドイツ二州がドイツの中では一般治安の良い方であることを強調しつつ、テロの危険がゼロとは言えないので,引き続き注意を払って頂ければ、と書きましたが、これだけ事件が続きましたので、一般的な治安が改善傾向にあるとも言えなくなってしまいました。ここでは4つの事件について簡単に触れると共に、改めてテロについての注意喚起をさせて頂きます。


 7月18日に発生したヴュルツブルク近郊の列車内における傷害事件では,「イスラム国」に感化された17歳の難民の青年に香港からの旅行客4人が斧で切りつけられ二人は重傷を負いました。 22日にミュンヘンのオリンピア・ショッピングセンターとそのそばのマクドナルドで発生した事件は、精神疾患者による銃の乱射事件で、自殺した犯人の他に9人(そのうち8人は20歳以下)が犠牲になりました。一時は犯人が逃走中と発表されたこともあり、ミュンヘン市内のすべての交通機関が止められ、市中心部の何カ所かでは誤った情報によって市民がパニックに陥る事態が起こりました。24日午後のロイトリンゲン(シュトゥットガルト南方)における事件では、犯人のシリア人難民が1人を殺害、さらに5人も切りつけ傷害を負わせました。24日夜のアンスバッハ(ニュルンベルクの南西)の音楽祭付近での爆発事件は,「イスラム国」に感化されたとみられるシリア人難民による、ドイツでは初めての自爆テロと思われ、犯人以外に死者は出なかったものの、15人が怪我をしました。この中で、規模的にはミュンヘンの事件が一番大きく青少年が8人も犠牲になるという悲惨な事件で、バーデン=ヴュルテンベルクに長くお住まいの方は、2009年のヴィネンデンの学校での15人の殺害事件を想起された方も多いと思います。一方で、「イスラム国」の影響を受けた難民による凶悪犯罪ということではヴュルツブルク近郊の列車内の事件とアンスバッハでの爆発事件も、静かなバイエルンの地方都市でこのような傷害事件が起きたということでショッキングでした。


 皆様方におかれては、既に、メルマガ、スポット情報等でご覧になっているかと思いますが、テロ等の事案に巻き込まれることのないよう、注意が必要です。具体的には、最新の関連情報の入手に努め、特に、テロの標的になりやすい不特定多数が集まる場所(ショッピングモール、イベント会場、デパート等)を訪れたり、公共交通機関を利用する場合には、避難経路を確認し、安全対策を必ず講じて下さい。また、周囲の状況に注意を払って、不審な状況を察知したら速やかにその場を離れるなど安全確保に十分注意して下さい。また、旅行や出張などの際には、海外滞在中も安全に関する情報を随時受けとれるよう、「たびレジ」に登録して下さい。


 さて、日独関係に目を向けますと、7月15日に、ASEM首脳会合出席のためにモンゴルのウランバートルを訪問した安倍総理とメルケル首相の間で、5月の総理訪独に続く日独首脳会談が行われました。首脳会談の中では12日に示された南シナ海に対するフィリピンと中国との間の仲裁裁判の最終判断も話題となり、安倍総理から、同判断は法的拘束力を有するものであり、当事国が仲裁裁判所の判断に従う必要があると発言しました。なお、22日のミュンヘンでの銃の乱射事件を受けて、23日に、安倍総理はメルケル首相宛に弔意メッセージを発出しました。

 

 バイエルン州、バーデン=ヴュルテンベルク州での活動をお伝えします。まず、7月17日にはミュンヘンの英国庭園で、第21回目を迎える日本祭りが開催されました。朝、降雨があったものの、開始から終了までの間は天気に恵まれ,一万人以上の方が来訪され、今年も成功裏に終了しました。独日協会、ミュンヘン日本人会をはじめ関係された方々のご協力に感謝いたします。また、7月7日にはバイエルン州政府のイニシアチヴで昨年から始まった「領事館の長い夜」で、昨年同様、五大陸博物館にスタンドを出して,七夕の短冊、折り紙、冷たい緑茶の提供などを行い、メルク州欧州・地域関係大臣も訪問して短冊に願いを書いてくれました。


 加えて、広報・文化関連では、ヴュルツブルク大学のフォルヒェル学長、ウルム大学のヴェーバー学長を表敬しました。ヴュルツブルク大学は1402年にできたバイエルン州で最古の大学で、シーボルトも学んでおり、東大はじめ多くの日本の大学と協力関係にあること、同学長自身、ナノ研究の関連で200回くらい訪日されていることなどを伺いました。ウルム大学は、来年創立50周年を迎える新しい大学ですが、奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)と研究分野で協力関係にあることなどを伺いました。


 姉妹都市関連では、ノイシュタット=アン=デア=アイシュにマイヤー市長を訪問しました。同市長は休眠状態になっている滋賀県日野町との関係の再活性化に意欲を見せてくれました。また、秋田市と姉妹都市関係にあるパッサウの独日協会で30年来活躍されてきたラウシャー会長への旭日双光章の叙勲伝達式を行いました。なお、姉妹都市ではありませんが、マンハイムにフロインドリープ第二市長を表敬したところ、市議会の各派院内総務も同席してくれ、同市にドイツで唯一のポップ・カルチャー・アカデミーがあることなどを伺いました。


 メディア関係では、南西放送のランドヴェア・ラジオ部門編集長とシュトゥットガルトで会ったほか、ドイツ・ジャーナリスト学校のザドロツィンスキ校長及び学生との懇談の機会を得ました。


 政治面では、バーデン=ヴュルテンベルク州議会のアラス新議長を表敬訪問しました。同議長は同州州議会で初めての女性議長、そして初めての移民の議長(トルコから12歳で移住されたそうです)としての抱負を語ってくれました。また、ベルリン出張の機会に、ラツマン・バーデン=ヴュルテンベルク州連邦代表(次官)を表敬しました。


 経済関係ではJETROに勧められてAUTOMATICAという機械・ロボット関係の見本市に出展していた大田区の中小企業のスタンドを視察しました。また、バイエルン州最北西のアシャッフェンブルクの商工会議所を訪問し、エデル会頭、フロインド事務局長から、バイエルン州にありながら、ライン・マイン圏に組み込まれている同地域の独特の事情を聴取しました。また、フォン・フォペリウス・ニュルンベルク商工会議所会頭を表敬しました。シンクタンクでは、マンハイムを訪問した際に、欧州経済研究センターのヴァンバッハ所長を訪問し、また、ミュンヘンではifoの新しい所長フスト教授(前ZEW所長)を訪問し、英国のEU離脱についての意見などを拝聴しました。


 最後に、この二ヶ月間で最も嬉しいニュースの一つですが、ガンバ大阪の宇佐美貴史選手がこの夏のシーズンからFCアウグスブルクでプレーすることになりました。宇佐美選手は5シーズン前にバイエルン、翌年はホッフェンハイムでプレーしましたが、その時以来のブンデスリーガへの復帰です。みんなで応援しましょう。

 

 それでは皆様。良い夏休みをお過ごし下さい。

 

 

 
 
(柳総領事のフロインドリープ・マンハイム第二市長(後列右)表敬訪問(ゲストブックへの記帳)(6月30日)
 
シーボルトの胸像前で(柳総領事(左)、 フォルヒェル学長(右))(7月12日)
 
アラス・バーデン=ヴュルテン州議会新議長への表敬訪問(7月22日)