外務省海外安全ホームページより
 
2007年8月7日
海外渡航者のための鳥及び新型インフルエンザに関するQ&A

 
平成19年3月29日
(平成19年8月6日改訂)


 

<鳥インフルエンザ編>
Q1. 鳥インフルエンザって何ですか?通常のインフルエンザや新型インフルエンザとは違うのですか?
Q2. 鳥インフルエンザの最新の感染地域を知りたいのですが、どこで情報を得られますか?
Q3. 鳥インフルエンザ発生国へ渡航を予定しています。感染を予防するにはどのような事に注意すればよいですか?
Q4. 鶏肉や卵を食べても大丈夫ですか?
Q5. 鳥インフルエンザに感染するとどのような症状が出ますか?
Q6. 鳥インフルエンザの予防接種(ワクチン)はありますか?
   
<新型インフルエンザ編>
Q7. 新型インフルエンザの「フェーズ」って何ですか?
Q8. 海外に住んでいます。新型インフルエンザ発生に備えて現時点でどのような準備をすればよいですか?
Q9. 新型インフルエンザのフェーズに応じて、外務省はどのような危険情報を出しますか?
Q10. 民間機が運航停止した場合に特別機など邦人の脱出手段の確保はどうなりますか?
Q11. 海外で新型インフルエンザにかかった疑いがある場合、どうすればよいですか?
Q12. 新型インフルエンザの予防接種(ワクチン)や治療薬はあるのですか?
Q13. 海外で感染した場合、在外公館で治療薬や抗ウイルス薬(タミフル)をもらえますか?



 

   鳥インフルエンザ編  
 
Q1. 鳥インフルエンザって何ですか?通常のインフルエンザや新型インフルエンザとは違うのですか?
A. インフルエンザウイルスには、A、B、Cの3つの型があります。このうちA型インフルエンザウイルスは、ウイルス表面の16種類のHA(赤血球凝集素)と9種類のNA(ノイラミニダーゼ)という糖蛋白により、多くの型に分けられます。日本で毎年冬になると流行する通常のインフルエンザは、A型インフルエンザであるH1N1型、H3N2型とB型です。

鳥インフルエンザは、A型インフルエンザウイルスを原因とする鳥の感染症で、その中でも発症すると重篤な症状と高い死亡率を示すものを「高病原性鳥インフルエンザ」といいます。鳥インフルエンザは、通常ヒトに感染することはありませんが、現在、家禽類の間で世界的に流行しているH5N1型鳥インフルエンザのヒトへの感染症例が増えており、今後、これがヒト社会に定着して、ヒトからヒトへ感染する新型インフルエンザになることが懸念されています。

 
   
Q2. 鳥インフルエンザの最新の感染地域を知りたいのですが、どこで情報を得られますか?
A. 外務省の感染症関連情報ホームページでは、渡航情報以外にも、次のような国内外諸機関ホームページへのリンクにより、鳥インフルエンザ関連各種情報を提供していますので御参照ください。

 
厚生労働省ホームページ
  新型インフルエンザ対策関連情報(「新型インフルエンザ対策行動計画」他)
  鳥インフルエンザ関連情報
感染症情報センターホームページ
  インフルエンザ関連情報(「インフルエンザQ&A」他)
  鳥インフルエンザ関連情報
WHOホームページ
  新型インフルエンザ関連情報
  鳥インフルエンザ関連情報
JOHAC(海外勤務健康管理センター)ホームページ
  鳥インフルエンザ/新型インフルエンザ関連情報
  海外派遣企業での新型インフルエンザ対策ガイドライン


 

   
Q3. 鳥インフルエンザ発生国へ渡航を予定しています。感染を予防するにはどのような事に注意すればよいですか?
A. これまで鳥インフルエンザに感染した人のほとんどが病気の鳥や死んだ鳥との直接の接触により感染しており、家禽類の飼育や屠殺あるいは食肉を調理する過程での接触がヒトへの感染の主要ルートと考えられています。鳥インフルエンザの発生・流行が確認されている国・地域に渡航・滞在予定の方は、(1)生きた鳥を扱う市場や家畜飼育場への立ち入りを避ける、(2)死んだ鳥や放し飼いの家禽との接触を避ける、(3)鳥の排泄物に汚染されたものを直接触らない等の注意が必要です。

 
   
Q4. 鶏肉や卵を食べても大丈夫ですか?
A. 鳥インフルエンザは、十分に加熱調理されていれば、食べ物を通じて感染することはありません。鳥インフルエンザの発生・流行が確認されている国・地域に渡航・滞在予定の方は、家禽類や野鳥との接触を避けるとともに、食べ物の取扱いなど衛生管理((1)調理の前後の手洗いを励行する、(2)調理器具等を良く洗う、(3)十分に加熱調理する(中心温度が70度以上になるようにし、肉汁は透明に、肉はピンク色の部分がないようにする)等)に十分注意してください。

 
   
Q5. 鳥インフルエンザに感染するとどのような症状が出ますか?
A. 原因となったウイルス株により違いがみられますが、一般的には、突然の高熱、咳などの呼吸器症状の他、全身倦怠感、筋肉痛などの全身症状を伴います。アジア等を中心に発生が見られるH5N1亜型鳥インフルエンザがヒトに感染した場合、初期症状は突然の高熱(ほとんどは38℃以上)、咳、全身倦怠などインフルエンザのような症状がでています。また、時に下痢や嘔吐、腹痛、胸痛などに加えて、鼻や歯茎から出血する場合があると報告されています。

 
   
Q6. 鳥インフルエンザの予防接種(ワクチン)はありますか?
A. 現在のところ、ヒト用の鳥インフルエンザワクチンはありませんが、現在、世界中で研究・開発が行われており、日本でもベトナムで分離されたウイルスをもとに作成されたワクチン株を用いたプレパンデミックワクチンが開発され、臨床試験が行われています。

なお、通常のインフルエンザの予防接種は、鳥インフルエンザへの予防効果は期待できません。

 
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  新型インフルエンザ編  
   
Q7. 新型インフルエンザの「フェーズ」って何ですか?
A. WHOは、新型インフルエンザの発生段階を6フェーズに分け、各フェーズ毎の公衆衛生学的目標を定めています。現在の状況はフェーズ3として分類されています(最新のWHOフェーズはこちら)。

フェーズ3は、人間にとって、新しいウイルスは感染力を引き起こしているが、ヒトーヒト感染は容易には起こっていないという状況で、新しい亜種のウイルスの早期検知、報告、症例への確実な対応等を公衆衛生学的目標としています。

なお、このフェーズは、世界的な視点のものであり、個別の国に対してのものではありません。

 
参考:WHOの分類によるインフルエンザ流行のフェーズ
    フェーズ1 ヒト感染のリスクは低い。
    フェーズ2 ヒト感染のリスクはより高いがヒト感染はない。
現在 フェーズ3 ヒト-ヒト感染は無いか、極めて限定されている。
    フェーズ4 ヒト-ヒト感染が増加していることの証拠がある。
    フェーズ5 かなりの数のヒト-ヒト感染があることの証拠がある。
    フェーズ6 パンデミックが発生し、一般社会で急速に感染が拡大している。


 

   
Q8. 海外に住んでいます。新型インフルエンザ発生に備えて現時点でどのような準備をすればよいですか?
A. パンデミック(世界的大流行)になった場合、感染を防ぐためには感染した人との接触機会を減らすことが重要ですので、そのため不要不急の外出をしないことが原則です。また、外出しなくても良いだけの最低限(新型インフルエンザに関しては少なくとも2週間分程度が目安とされています)の飲食料、日用品、常備薬等の生活必需品の備蓄はしておいたほうがよいでしょう。また、いつでも出国できるように、現金の準備や、旅券や査証の残存有効期間の確認も行っておくようにしてください。

なお、新型インフルエンザが発生していない場合であっても、日頃から手洗い・うがいの励行、バランスのよい食事、十分な睡眠等の体調管理に努めることが、その他の感染症を含めた感染を予防するためにも非常に重要です。

 
   
Q9. 新型インフルエンザのフェーズに応じて、外務省はどのような危険情報を出しますか?
A. 外務省は、感染発生国・地域については、WHOが宣言する各フェーズに応じ、以下のパターンで「感染症危険情報」を発出することを想定しています(ただし、感染拡大の速度によっては、必ずしも以下のパターンで順を追って発出するとは限りません。なお、感染未発生国・地域についても、世界的な感染拡大の状況や現地の医療事情等を勘案した上で、感染症危険情報等による情報提供を行っていきます)。

フェーズ4直前(WHOよりフェーズ4が間近に宣言されると判断される時点)
 
  <渡航者向け> 「渡航の是非を検討してください。」
  <在留邦人向け> 「予め今後の退避の可能性も含め検討してください。」


フェーズ4~5(WHOよりフェーズ4または5が宣言された時点)
 

  <渡航者向け> 「渡航は延期してください。」
  <在留邦人向け> 「今後、出国ができなくなる可能性及び現地で十分な医療が受けられなくなる可能性もあります。退避については、これらの点も含め検討してください。」(ただし、WHOの感染拡大封じ込め措置によって封鎖された地域の邦人の皆様には、同措置への協力を呼び掛ける予定です。)


フェーズ6(WHOよりフェーズ6が宣言された時点)
 

  <渡航者向け> 「渡航は延期してください。」
  <在留邦人向け> 「現地の安全な場所に留まり、感染予防対策を徹底してください。」


新型インフルエンザの出現時期や流行規模、感染拡大の速度を正確に予知することは困難であり、予想以上の速度で感染拡大が進む可能性もあります。海外に渡航される方は、日頃から渡航・滞在国(地域)における最新の新型インフルエンザ関連情報に注意し、場合によっては、感染症危険情報の発出を待たずとも自己の判断で現地事情に即した迅速な対応ができるよう心掛けてください。

 

   
Q10. 民間機が運航停止した場合に特別機など邦人の脱出手段の確保はどうなりますか?
A. 新型インフルエンザの発生により民間航空機(定期便)が運航停止する場合には、チャーター機等による輸送手段も検討しますが、チャーター機等の確保には、WHOの勧告を受けた現地政府の措置等の制約要因もあります。このため、WHOフェーズが4になる可能性が高まる場合には、民間航空機(定期便)が運航しているうちに退避されることをお勧めします。なお、パンデミック(世界的大流行)になった場合は、移動すること自体が危険になっている可能性があるため、その場合には在留邦人の皆様には現地に留まり、感染予防策を徹底するよう呼びかけることとしています。

 
   
Q11. 海外で新型インフルエンザにかかった疑いがある場合、どうすればよいですか?
A. 早急に最寄りの信頼できる医療機関を受診してください。(各国・地域の鳥・新型インフルエンザ指定病院がある場合、在外公館のホームページ等で情報を提供していますので、予め確認しておくようにしてください。)

 
   
Q12. 新型インフルエンザの予防接種(ワクチン)や治療薬はあるのですか?
A. 新型インフルエンザ用の予防接種(ワクチン)は、新型インフルエンザが発生して、そのウイルスの型が決まってからでないと製造することができないため、現時点で予防用ワクチンは存在しません。ワクチンの製造には、ウイルスが出現してから最低でも6か月は必要と言われています。現在、世界各国の研究機関では、これまでに鳥からヒトへH5N1型鳥インフルエンザが感染した症例からウイルスを分離してワクチンを開発中ですが、このワクチン(プレパンデミックワクチン)が実際に新型インフルエンザに効果があるかは不明です。

また、新型インフルエンザの治療薬についても、原因としてどのようなウイルスが発生するのかわからないため、現時点で治療薬、特効薬はありません。

 
   
Q13. 海外で感染した場合、在外公館で治療薬や抗ウイルス薬(タミフル)をもらえますか?
A. 抗ウイルス薬であるタミフルは処方薬であり、医療機関で医師の診断により処方されるものです。海外で新型インフルエンザに感染した場合も、現地の法令や防疫措置に従って医療機関を受診し、現地の医師の診断により処方されることが原則となります。

在外公館では、海外にお住まいの日本人や日本人旅行者が新型インフルエンザに感染した場合、適切な治療や確実な治療薬の投与が行われることが可能となるよう、現地の医療事情や医療体制を把握し、新型インフルエンザに感染した場合の診療機関や受診方法などに関する情報を提供することとしています。

ただし、現地の医療事情等によっては適切な治療が受けられないことも想定されますので、外務省では海外の日本人の生命、身体を守るための緊急的な対応用として、欧米等の先進国を除く医療事情の悪い地域に住む海外邦人約10万人分の抗ウイルス薬を確保しています。新型インフルエンザが発生した場合、在外公館からの情報など関連情報を収集し、各個人が感染予防に努めていただくことはもちろんですが、不幸にして海外で感染し、現地で適切な治療が受けられない場合は、すぐにお近くの在外公館にご相談ください。
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